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見た映画と本の感想を、悪文かまわず吐き出しております。やや毒舌が多いのでご注意を。
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精霊の木 
上橋菜穂子 著


あらすじ
地球に住めなくなった人々が新たな星・ナイラを見つけてそこに移住し、その星を拠点に更に様々な星へと移住して、星間移動も日常の風景となり、どの星に暮らす人々も随分と豊かになった時代。
ナイラは星の半分以上が人工的に資源を他の星に送るだけの存在となり、居住人口も減って、田舎星となってしまっていた。
主人公シンはナイラ出身で、進路により都会に出て行く決意が固まらなかった。何故か、この故郷を出がたくて、自分の気持ちもよく分からない。
そんな時、ナイラの鉱山から不思議な光が発見される。
そして、シンのいとこリシアが過去の祖先達の夢を見るようになった。
彼女の夢見は、はるか昔から、連綿と続いてきた『精霊の木』を求める呼び声となって、彼女の本来の姿を目覚めさせたのだった。





感想
・・・・・・・・やっぱり上橋さんの文章は凄い!圧倒されます。
なんだろう、どう表現すればいいのか分かりませんが、私がこれまで読んできた様々な小説の中では飛びぬけて文章が魅力的です。
ストーリーは、上橋さんの「守り人」「奏者」と似ていて、伝統民族の力強さや生命のたくましさをとくと語っている話です。
リシアが過去を夢見る事によって、過去の人々が「今の」リシアに呼びかけると言う、その場面が一番グッと胸に来ました。

いかに踏み躙られ過去を消されようとも、幾重にも積み重なって出来た人々の思いはそう簡単に滅したりしない・・・!



この話はまんまネイティブアメリカンの話だなとも、言えますね。
私たちが信じていた歴史は実は血塗られた残虐な歴史で、それを綺麗な言葉や相手を辱める事によって正当化していたけれど、かつての人々が持ち続けた言葉や心の強さによって、それが白日の下にさらされる・・・・と言うのは痛快でした!

個人的に、ネイティブアメリカンがどれだけ開拓者達に虐げられ、酷い扱いを受けてきたのかは本などで読んでいたので、それと重ねて読んでいくと、涙が出ますね。

後書きで知ったのですが、上橋さんは長くオーストラリアのアボリジニーと生活して、彼らの文化を研究なさってたそうです。
アボリジニーの方には私も実際オーストラリアに行った時に会って、民族楽器を披露してもらい、深くは話を聞かなかったのですが、後々に調べてみると、アボリジニーの方々もネイティブアメリカンと同じ、もしくはそれ以上の酷い扱いを受けてきた事が分かりました。
タスマニアでは、もう生粋のアボリジニーの方はいないそうです。
その頃の開拓者達にとっては、同じ人間であるアボリジニーの人々はドードーと同じ動物にしか、見えてなかったんでしょうね。

過去、大航海時代の話は勇ましくて、冒険心に溢れ、わくわくする話が沢山あります。新天地を求めたコロンブスもマゼランも、とても夢があって彼らの話は楽しいですが、反面、先住者にとっては猛毒のウィルスみたいな存在だったでしょうね。

自分が日本人で、開拓者でもなく先住者でもなかったので、どちらの気持ちも真に理解する事は出来ないですが・・・・歴史には常に反面が存在するのだと、思いました。



・・・話がそれましたが!

「精霊の木」、ものっすごく良かったです。
これもぜひぜひ買いたいです。
上橋さんの著書はやはり良い!すごく文章に酔える!!!!!!!
ってことで、さっさと守り人シリーズを読み始める事にします!!!!
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